謎解き!平成大不況―誰も語らなかった「危機」の本質
単行本
コレクター(0)著者の問題提起は、さまざまな経済政策にもかかわらず経済がよくならないのなら、その根拠のマクロ経済学理論のほうが間違っているのではないかというもの。本書では、政府・経済当局が行ってきた計10回、総額150兆円近くの財政支出、ゼロ金利政策、構造改革などがいずれも無効だったことを検証したうえで、古典派、新古典派、ケインズ学派、マネタリストの主流4理論に対する批判的な考察を展開している。
とくに、4理論の「お金の供給量」と「GDP」のとらえ方を問題視する著者は、そこから銀行の信用創造(融資)の「特殊な役割」を導き、それを考慮すれば4理論が説明できなかった経済現象を説明できるとしている。80年代に崩れ、世界中のエコノミストを悩ませてきた貨幣数量説の「謎」も解けると著者は主張するのである。
さらに驚かされるのは、その理論が日本のバブル経済や平成不況、韓国や米国の経済再生などを一貫して説き明かし、デフレ克服による経済成長や不良債権処理の処方せんをいとも簡単に導いてしまう点である。その処方せんは政府と日銀の踏み込んだ行動を促すもので、とくに日銀の役割が焦点の状況にあっては非常に示唆的である。
本書は、著者の前作『円の支配者』の背景にある考え方をまとめた本格論考『虚構の終焉』の要約普及版的な1冊である。「謎解き」のわかりやすい展開なので、さほど経済学の知識がない方でも、問題なく読み進められるだろう。(棚上 勉)
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